セアカゴケグモの解説
これまでわかっている情報をできる限り紹介します。
セアカゴケグモの学名は、Latrodectus hasseltii Thorell, 1870 とされます。セアカグモという和名もあります(八木沼,1960)。
東アジアからオーストラリア,南太平洋諸国まで広く分布します、アカオビゴケグモの記録も含まれるので、正確な分布域はまだ確定していません。オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、南太平洋諸国(ブルネイ、パラオ、ミクロネシア、ソロモン、ナウル、マーシャル、キリバス、バヌアツ、ツバル、フィジー、西サモア、トンガ)から記録があります。インドにはセアカゴケグモが分布するとされていますが、アカオビゴケグモとの関係が不明です。温暖で乾燥した環境を好むようですが、ニュージーランドでは積雪のある地方にも生息しています(夏原,1996)。
この属の他の種類と同様に、雄、雌ともに、腹面に四角形、または砂時計型の赤い模様があります。成熟雌は、体長7〜10mm、全身ほとんど黒色で、球形の腹部の背面中央に赤色の帯がよく目立ちます。未成熟な雌は、黒色または濃褐色、腹部背面の赤色の帯に白いふちどりがあったり、八の字形の白いすじが数本見られるものが多いです(Cambridge, 1902)。雄は4〜5mm、黒色または濃褐色で、未成熟雌と同様の模様がありますが、腹部はより細いです。幼生は小さく、褐色で、未成熟雌と似た模様の個体が多く見られます。
卵嚢はほぼ球形で、直径約6〜10mm。乳白色で、50〜200個の卵を含ます。1匹の雌の巣に含まれていた卵嚢は最大6個で、1卵嚢の卵は88個と177個という観察があります(西川・冨永,1996)。
日本への侵入の経路については、オーストラリア、ニュージーランドから、インド、ビルマにかけた暖地から記録があり、外国からの船舶が出入りする港湾部に多く発見されることから、船の積み荷、コンテナー、パレット等などに付いてきた可能性が非常に高いようです。草がまばらに生えた荒地に放置されたパレットには、このクモが巣を作りやすく、その巣の個体あるいは卵嚢がそのまま日本に持ち込まれた可能性が高いようです。卵嚢から孵った幼生が日本の港付近で広がったのでしょう。
勝川(1998)によると、オーストラリア産,大阪府産,三重県産のセアカゴケグモで,「プライマ−を除く904bpの塩基配列はすべて一致した」としています。その他のデータ不足のため,日本産とオーストラリア産の個体群が同一系統であるかどうかの判定は行われていません。
また,オーストラリアの研究者によると,キャンベラの個体群の斑紋が大阪のものによく似ているというTV報道がありました(西川・金沢,1996)が,侵入経路は不明です。多数発見された1995年の,3〜5年以上前に,日本に上陸していたと考えられます(西川・金沢,19996)。
10年前の発見当時、高石市の広範囲に分布したことから、駆除が難しいと予想しました。10年経過して、予想通りになりました。今後は、クロガケジグモやオオヒメグモのような普通種となっていくと思われます。すでに大阪府ではそういう状態です。
一方、ほぼ同時に大阪市南港で発見されたハイイロゴケグモの個体群は、大阪市立自然史博物館友の会とクモ学会の会員有志の調査により、捕獲し尽くされたようで、その後の調査でも確認されていません。早期発見と徹底的な駆除が外来生物の侵入をくい止めた事例でしょう。
セアカゴケグモのメスと卵嚢。1995年11月19日に高石市高砂で桂孝次郎氏が撮影。
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