ゴケグモ毒に対する誤解:フグ毒との混同(2)

前述の「フグ毒との混同があったのではないか」という推測は、全くの当て推量ではありません。私はそれをにおわせるコメントをもらっています。

①フグはペプチドだから、アナフラキシーショックは起きないのではないか?
②毒素を製造するバクテリアを伴わないので、日本に定着したセアカゴケグモには強い毒がないのではないか?

私の発言にこのような反応があるのは有難いことです。これを検証しましょう。
①について
フグ毒が「ペプチド」であるか、私には詳しい知識がありません。しかし、フグ毒は加熱しても不活性化しませんし、分子量が319.27と小さいので、蛋白質でないことは確かです。これに対してゴケグモ毒の分子量は13万です。
元々、フグ毒との混同から生じた疑問ですから、これといった根拠はありません。

なお、大阪府は公式サイトで、「セアカゴケグモにアナフィラキシーショックはなし」と明言しています。その根拠は、
「ゴケグモ毒を注入したマウスに抗血清を投与したところ、ショックは起きなかった」
ということのようです。
しかし、アナフィラキシーショックはアレルギー反応ですから、それが起きるか否かは検体の体質によります。当時の府立衛生研究所にアレルギー系統のマウスが準備されていたとは思えません。
これとは別に、「咬傷被害者にアナフィラキシー反応が起きた例があるが、大事には至らなかった」という情報がありました。これは単に「死亡しなかった事例があった」ということを意味します。

②について
最近、「フグ毒が底性バクテリアによって作られる」ということが広く知られるようになりました。しかし、すべての有毒動物がバクテリアに依存していることが証明されたわけではありません。
私は、ゴケグモ毒のこの方面に関する知識は持ち合わせておりません。自力で製造するかもしれないし、毒素を作る微生物と共生状態にあるのかもしれない、あるいは、日本列島に既存の微生物がセアカゴケグモに毒素を提供してた可能性もあるとしか申せません。

しかし、1996年の大阪府の毒性試験で、オーストラリアの個体と同程度の毒性が確認されたのは事実です。

そもそも、バクテリアとセットで侵入しなければ、毒素を保有できないのならば、多くの有毒な外来生物は危険性が少ないことになります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です