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ゴケグモ類とは のバックアップ差分(No.1) :: 昆虫情報処理研究会

xpwiki:ゴケグモ類とは のバックアップ差分(No.1)

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1: 2006-01-14 (土) 10:19:13 ソース[5]
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 +* ゴケグモ類とは [#sd490cd7]
 +ゴケグモ類は、正式にはゴケグモ属(Latrodectus Walckenaer, 1805)という分類群に属するクモのことです。
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 +ゴケグモ属はヒメグモ科(Theridiidae)に属し、世界の熱帯から亜熱帯を中心に暖帯の地域に広く生息しています。世界からこれまで約20種類(未記載種又は不明種を含む)が記録されており、全種が有毒です。ゴケグモ属は、側眼がその直径より広く離れ、上顎に歯はなく、雌の内部生殖器に二つのアレイ形の受精嚢があり、雄の触肢には渦巻状の栓子があり、間突起が大きい、という特徴で他の属と区別されます(Levi(1962))。
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 +雌成体の体長は7〜16mm(歩脚は除く)で,ほとんど巣にいるが,まれに巣を離れる.雄は小さくて脚が長く,雌を求めて放浪する.雄は交尾後に雌に食べられることが多いので,「Widow」と呼ばれている.この現象は肉食性の無脊椎動物ではよく見られ,クモにおいても珍しいことではない.他のクモと比較してこの属のクモではその頻度が高い.巣は不規則な網で,糸はきわめて強い.地上を這う獲物はこの糸にかかって,糸の下方が切れるとつり上げられ,糸を何回もかけられたり,もがいているうちに糸でぐるぐる巻きにされて毒液を注入される.巣にはたくさんの獲物,食べかすや落葉等のゴミを糸で付着させてある.驚かされると落ちて足を縮めて死にまね(擬死)をする.攻撃性はなく,牙も短いので,素手で巣にふれたり,つかまえないかぎり,軍手等の手袋をはめていれば咬まれることはない.
 +
 +クモは全て肉食性で,ウスグモ科以外のクモは,昆虫等の獲物を麻痺させる程度の毒をもっている.口の両側に一対の牙を持ち,毒嚢で作られた毒液を毒腺経由で牙に送り,獲物の体内に注入する.この毒液は本来は消化液で,口外消化をして養分を吸収するためのものである.人間に対する攻撃性は本来なく,防御のために咬んでも,牙が小さく,人の皮膚が厚いため毒を注入することができず,人間に重大な危害を与える有害なクモの種類は少ない.日本では,40〜50例のクモによる被害が知られており,そのほとんどがカバキコマチグモ(フクログモ科)による咬症である(原田,1995).その内の2例がヤエヤマゴケグモ,1例がセアカゴケグモによるものである.
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 +クモの毒の中に含まれる蛋白質には,種により異なるが,アルカリ性ホスファターゼ,エステラーゼ,昆虫に対する毒(アルジオピン等),神経毒(α-ラトロトキシン,β-ラトロトキシン),ホスホジエステラーゼ,プロテアーゼ,キニナーゼ,5'-リボヌクレオチドホスホヒドラーゼ,スフィンゴミエリナーゼD等があり,ゴケグモ属の毒液は強力な神経毒を含んでいる.咬まれると,激痛を伴うが,注入される毒の量が少ないので,死亡する人はまれである.
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 +[[ゴケグモ類の毒成分]]
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 +[[ゴケグモ類を見つけたら]]
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 +[[ゴケグモ類に咬まれたら]]
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